尼崎のA-LABで、松延総司さんとの二人展を行います。
今回、私はゲストキュレーターという形でも関わっており、私から松延さんに出展をお願いしました。また展覧会のタイトルは、松延さんとの話し合いを経て考えたものです。
会期が12月まで2ヶ月ありますので、たくさんの方にご覧いただけたらと思います。
A-LAB Exhibition Vol.45
「家具と抽出し」
松井沙都子、松延総司
会場=A-Lab(兵庫県尼崎市)
会期=2024年10月19日(土)-2024年12月15日(日)
開館時間=10:00-18:00
休館日=火曜日
入場料=無料
主催=尼崎市
【出展作家】松井沙都子、松延総司
【関連イベント】
トークイベント「家具と抽象とアートのお話」
日時:10月26日(土) 午後2時〜午後3時30分
ゲストに沢山遼さんをお招きして、出品作家との対談を行います。
要申込。定員先着20人。
詳細は、A-Lab webサイトにてご確認ください。
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「足りないもの」や「見えていないもの」など、ふだんは意識しにくい物事やそのあり方をミニマルな立体造形を通して考察してきた二人のアーティスト、松井沙都子と松延総司による展覧会「家具と抽出し」を開催します。二人の作品は、展示する空間自体も重要な表現の要素となることから、この企画では、出品作家の松井沙都子がゲストキュレーターとして全体のテーマを練り上げ、コラボレーターの松延総司とともに各展示室の構成を行います。
日常生活に空気のように存在している「家具」をモチーフとすることで、私たちがアートを見る目をずらしていくこの試みは、アートを鑑賞するという行為自体への問いかけも含んでいます。本展を通してアートへの様々な想像を巡らせ、多くの疑問や発見に出会っていただければ幸いです。
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家具と抽出し本展はいわゆる家具の展覧会ではない。展示作品は、もしかすると実際の家具に似ているかもしれないが、その性質や存在の意味は大きく異なる。
私と松延さんの作品は、「欠如」や「地」といった捉えどころのない概念を背景に持つ。一方で両者の作品には、形状や材質、構造といった目に見える要素において、共に「家具」的であるという側面を持つ。他者と共有しづらい概念について、より多くの方に想像を巡らせていただくきっかけとなるよう、本展では「家具」をテーマにすることにした。つまり本展に展示されるのは、実際の家具のようでありながら、家具そのものとは言い切れない、美術作品である。
ちなみに展覧会タイトルの「家具」に続く「抽出し」という言葉は、松延さんが提案してくれたもので、美術批評家の沢山遼さんによる「“抽象” と“抽出し” には関連性がある」との話が参照されている。対象からエッセンスを抽出するという意味を持つ「抽象」には、その語の示す通り「抽出し」からものを取り出す所作に通じているためではないかと、私は考えている。
馴染み深い「家具」の距離感で作品に接しつつ、美術の本質ともいえる「抽象」の面白さに、少しでも触れていただけるような機会となれば幸いである。
松井沙都子(本展ゲストキュレーター/出品作家)